近年、AI(人工知能)や機械学習をマーケティングオートメーション(MA)に取り入れる動きが活発になっています。
AIの中核を支える機械学習には、重回帰分析、ロジスティック回帰、決定木、k-means等のクラスタリング、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン(SVM)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、ディープQネットワーク(DQN)など様々な手法がありますが、必ずしもマーケター自身が手法の詳細を把握する必要はありません。
そのため本コラムでは、マーケターが理解しておくべき
- 機械学習が必要とされる背景
- 機械学習の活用例
- 機械学習導入における注意点
をご説明し、機械学習をマーケティングオートメーションに取り入れるポイントをご紹介します。
機械学習の活用具合によってMAのパフォーマンスが大きく変わってくるため、MAの導入を検討中・MAを利用中の方はぜひ最後までお読みください。
目次
1. 機械学習が必要とされる背景
そもそも機械学習とは、ある現象を説明する数理的な「モデル」を、過去のデータを「学習」させることにより構築し、新しいデータに対して「予測」または「分類」を行う、という解析手法です。需要予測、異常検知、画像認識や音声認識など、幅広く社会で活用されるようになっています。
マーケティングオートメーションキャンペーンにおいて、多数の多様な顧客に対して効果的な施策を行うためにはデータ分析を行うことが重要です。データ活用環境の発展に伴い大量のデータを効率よく扱えるようになりましたが、分析は同様にはいきません。
例えば、顧客のターゲティングによく用いられるRFM分析では、R(最終購買日)、F(購入回数)、M(購入金額)の3つの変数をもとに顧客のセグメントテーション絞込を行います。これは「3変数にのみ着目してその他の変数は無視している」ことを意味します。RFMは効果的な分析ではありますが、実際には初回購買金額や直近1週間のサイト閲覧回数などを用いたほうがより適切な顧客層を抽出できることもあります。他の変数も有効かもしれません。このようにいろいろな変数を考慮しようとすると、その組合せは爆発的に増えるため、人力では分析しきれなくなります。
機械学習では、アルゴリズムがコンピュータの計算リソースを用いて変数を評価していくため大量の変数にも容易に対応でき、予測精度や信頼性、分析効率の向上を図ることができます。
2. 機械学習の活用例
MAにおける機械学習活用の代表的なものとしては、以下があります。
DM/Eメール送付効果の最大化
各顧客に対して購買や成約の見込みを表す予測スコアを算出し、スコアの高い顧客に対してDMやEメールを送ることで売上向上やコスト削減が図れます。
Eメールの場合は、コストがかからないことから送付先顧客をあまり絞らずにキャンペーンが行われているケースも多いですが、顧客にとって興味のないメールが多数届くことでそもそもメールを見なくなる、というリスクを抑えることができます。
離脱(休眠)の防止
各顧客に対して離脱や休眠の見込みを表すスコアを算出し、スコアの高い顧客に対して防止施策を実施することで離脱/休眠を低減させることができます。
機械学習では、各変数がどの程度予測結果に影響しているかの度合いも算出することができます。これにより、例えば『顧客との接触回数の減少は離脱しやすさに大きく影響する』といった客観的な知見が得られ、『定期的に接触を保つ』など施策の立案に活かすことも可能です。
クロスセル/レコメンド
どの顧客にどの商品を提示したら購買されやすいかを表すスコアを算出します。これをもとにクロスセルやレコメンドを行うことにより、顧客の購買を促進し売上を高めることができます。
施策実施時間のOne to One化
各顧客が例えば午前、午後、夜のいずれの時間帯に最も施策に反応しやすいかを予測し、施策実施時間を顧客ごとに変えてキャンペーン効果を高めます。
3. 機械学習導入における注意点
機械学習をの導入してマーケティングオートメーションに活用していくにあたっては、いくつか注意すべき点があります。
データ活用の意思共有
機械学習では多種・大量のデータの抽出・結合や加工が不可欠なため、システム部門へ通常業務とは別の環境や作業を依頼する必要が生じます。また、施策実施を調整したり、ときには新たな仕組みを作りデータを集めるところから始めるなど、さまざまな部署を巻き込まなければなりません。
「データを活用して業務を改善する」という意思を組織として共有することで、これらをスムーズに進めることができます。
現場の感覚も重要
機会機械学習は科学的な手法として現場担当者の経験や勘とは対立するものとして語られがちです。しかしながら、現場の感覚が有用な情報を含んでいることも多く、最初から排除せず観点として考慮に含めることが有用です。機械学習によりあるものは客観的な知見として、またあるものは一般性のない事例としてデータに基づく定量化や評価を行えるため、現場にとっても結果は有益です。
専門家とともに
最近は機械学習のさまざまな手法を実装したツールが数多く出回り、手法の詳細を知らなくても形としてモデルを構築できる環境は整備されてきました。しかしながら、良いモデルを作るためにはデータの加工や評価の工程が非常に重要であり、統計や機械学習の専門的な知識が欠かせません。モデルの構築は機械学習エンジニアとともに進めていくことを推奨します。また、結果を施策に反映させるためにマーケティングオートメーションに組み込むことも必要です。
自社リソースでの検討・導入が難しい場合は、専門のコンサルティングサービスを活用しても良いでしょう。
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