目次
顧客データを基盤にした近鉄グループの個人向け通販旅行代理店
<スプリームシステム>
様々な旅行代理店がある中で、貴社の旅行事業の特徴について教えてください。
<クラブツーリズム 加藤氏>
当社は近畿日本鉄道グループの旅行会社で旅行の通信販売をしています。店頭の接客ではなく、電話やウェブ上で販売をしています。近畿日本鉄道グループの旅行会社の中でも棲み分けがあり、近畿日本ツーリストは団体向け旅行と個人向けフリープラン旅行、当社は個人向けパッケージ旅行と、事業のセグメントをしています。
<スプリームシステム>
店頭ではなく電話やWeb経由での販売とのことですが、メインの販売チャネルは何になりますか。
<クラブツーリズム 加藤氏>
Web経由の売上比率は高まっているものの、現在でも紙のカタログ経由の売上が最も大きいです。コロナ禍によるWeb経由の売上比率の高まりによって、以前より減らしているものの現在でも150種類もの媒体のカタログを毎月送っています。
また、マーケティングに関わりますが、当社独自の会員組織を持ち、顧客管理に長けていることも特徴です。これらの顧客のデータをもとに、お客様一人ひとりの趣味嗜好に寄り添った旅行カタログを販売する手法を取っています。
<スプリームシステム>
何人くらいの会員情報を保有されているのでしょうか。
<クラブツーリズム 加藤氏>
900万人弱の会員がいます。保有している顧客ごとの旅行履歴のデータから、様々な趣味嗜好を探りマーケティングに活かしています。
<スプリームシステム>
通信販売の形態で個人向けに販売している他の旅行代理店と比べた際の貴社の強みを教えてください。
<クラブツーリズム 加藤氏>
弊社の特徴としてもお伝えしましたが、弊社の強みは顧客データがとてもキレイに整備されていることです。「顧客」の管理と「世帯」の管理をかなり精密に出来ていることが、マーケティングの基盤となっており、複数名の会員がいる一軒のお宅でもきちんと一部のカタログのみをお送りしています。
<スプリームシステム>
マーケティングや事業における顧客データ整備の重要性は今でこそ当たり前になっていますが、いつ頃から顧客データの整備に着手してきたのでしょうか。
<クラブツーリズム 加藤氏>
当社の顧客データベース一号機が出来たのが2002年の為、約20年間にわたって顧客データを活用したマーケティングに取り組んでいます。
SQLによるカタログ対象顧客抽出の限界
<スプリームシステム>
2002年から顧客情報を蓄積するデータベースを構築されたとのことでしたが、そこから10年後の2012年にaimstarをご導入いただきました。aimstarご導入の背景について教えてください。
<クラブツーリズム 加藤氏>
データベース構築により顧客データは溜まるものの、カタログ施策に活用する方法が大変でした。
というのも、顧客データを活用する為のツールはなかったため、データの抽出やDMのラベル連携には都度SQLでプログラムを組む必要があったためです。当時は1ヶ月に約300種類ものカタログ媒体を送っており、1媒体ずつSQLで対象顧客を抽出していたため本当に大変でした。このように技術者がSQLでカタログの対象顧客を抽出する時代がとても長く続きました。
<スプリームシステム>
SQLでのカタログの対象顧客抽出が約10年間ほど続いた中で、aimstarの検討に至ったきっかけを教えてください。
<クラブツーリズム 加藤氏>
一番の理由は、カタログの対象者条件の方針転換を試みた際に生じたSQLの限界です。具体的には、従来は「過去4年以内に旅行履歴のあった全顧客」に送っていました。しかしこの条件だと4年前の購入顧客と直近の購入顧客が同じリストになるため、購買確率の高い顧客と低い顧客が混在していました。
この問題を解決する為に、全てのお客様を「累計購買金額」と「最終予約日からの経過日数」の2軸でクラスタリングをし、購買意欲の高い顧客に絞ってカタログを送る方針に転換しました。
毎月300媒体送っていた当時、1媒体ずつ、SQLで「購入金額」と「最終予約日からの経過日数」で対象顧客を抽出するのは現実的ではないため、aimstarのような顧客抽出機能をもったマーケティングツールの導入を検討しました。
カタログ送付に必須な「世帯」にも対応可能なaimstar
<スプリームシステム>
顧客抽出機能のあるシステムが様々ある中で、aimstarをご選定いただいた理由を教えてください。
<クラブツーリズム 加藤氏>
aimstarの決め手はカスタマイズのしやすさです。比較検討したツールは、外資系ツールでソースコードが海外にあるため、カスタマイズが難しかった事が大きいです。
また、aimstar導入当初は「購入金額」と「最終予約日からの経過日数」の2軸のクロス集計ができればまずは良かったのですが、aimstarでは集計した結果に対してカチカチっと更に絞り込めるのがとても好印象でした。絞り込んだ条件に該当する顧客数もパッとわかるのも良かったです。
顧客と世帯を切り替えられることも、顧客データをきちんと管理してきた弊社にとってはよいポイントでした。多くの会社のDMやカタログは顧客単位での管理のため、奥さんと旦那さんのそれぞれに送られるような、一家に二冊届いてしまうケースがございます。aimstarのセグメント抽出機能は顧客と世帯ですぐに切り替えられる為、他社にはない特徴だと思いました。カタログは一家に一冊が理想の為、世帯ごとに発行数を管理できるaimstarはとても魅力的でした。
カタログDXの4つの変遷
<スプリームシステム>
aimstar並びに弊社をご選定いただきまして、改めて誠にありがとうございました。
2012年にaimstarをご導入いただいてから現在までの約11年間に渡って、様々な取り組みをしてきたかと思います。まずはこれまでのカタログDX変遷の全体像について教えて下さい。
<クラブツーリズム 加藤氏>
aimstar導入後のカタログDXには、4つの変遷があると考えています。
①SQLでの顧客抽出
②aimstarのフローチャートでの対象顧客抽出
③対象顧客抽出の自動化
④カタログにおけるAI活用
<スプリームシステム>
まずはSQLでの顧客抽出から、aimstarのフローチャートでの顧客抽出に切り替えたお話を聞かせてください。
SQL離れを決意したスプリームシステムの常駐支援
<クラブツーリズム 加藤氏>
実はaimstarを導入したものの、手組みのSQLを辞められない時期が続きました。理由として、毎月300媒体ものカタログ発行部数を処理する必要があったため、どうしても慣れているSQLに頼ってしまったためです。
しかしSQLだと、詳しい人しか設定内容が分からず、業務がブラックボックス化する為、SQLから脱却する必要がありました。様々な検討や試行錯誤をした結果、貴社との常駐契約を交わし、従来のSQLから、aimstarの顧客抽出機能である「フローチャート(※)」に切り替える大きな決断をしました。
※フローチャート:ドラッグ&ドロップで自由に・視覚的にセグメントの設定及び、自動でセグメント抽出が実現できるaimstar独自の機能
<スプリームシステム>
10年間以上もの間、SQLで顧客対象者を抽出されていたため、大きな決断だったと思います。
<クラブツーリズム 加藤氏>
本当に大きな決断でした。
300媒体もの業務ロジックをSQLを読み解いて理解する必要があったため、貴社の移管作業もとても大変だったと思います。これだけ大変な移管作業をよく貴社も受けてくださったと今でも感謝しています。特に最初に常駐し、SQLからフローチャートへのリプレイスを担当された貴社のカスタマーサクセスの方々は、大変だったと思います。
実は私はリプレイス時期は近畿日本ツーリストに出向していました。出向中も噂には聞いていましたが、当社に戻ってきたときに、本当にフローチャートに切り替わっていてとても驚きました。
aimstarのフローチャート機能はもちろん、スプリームシステムの常駐支援の方々には本当に助けられました。
平準化と可視化を実現したフローチャート
<スプリームシステム>
SQLからフローチャートに移行し、改善したことを教えてください。
<クラブツーリズム 加藤氏>
一番良かったことは、カタログ対象顧客の抽出条件の見える化です。特に抽出の内容が日本語で出力できる機能がとても良かったです。多くの顧客抽出ツールはSQLのまま条件が出力されますが、aimstarの場合は日本語や不等号ではき出されるため、SQLに詳しくない人でも抽出条件が理解できます。
やはり業務をブラックボックス化しないことがとても重要です。ブラックボックス化が防げれば、業務に多くの人が関わることが可能になります。多くの人が関われば業務の標準化が必要になります。業務の標準化ができれば手作業部分の自動化やオートメーション化を考えるようになります。
40%の工数削減を目指す顧客抽出自動化
<スプリームシステム>
2014年頃からご活用いただいているフローチャートにおける課題感についても教えてください。
<クラブツーリズム 加藤氏>
脱ブラックボックス化と標準化は実現できましたが、「スピード」においてはフローチャートでも改善の余地がありました。フローチャートを活用しても複雑な為、顧客抽出作業は多くの時間がかかる大変な業務でした。この最後に残った「スピード」の課題を解決するのがフローチャートの自動化改修でした。
<スプリームシステム>
フローチャートの自動化改修の詳細について教えて下さい。
<クラブツーリズム 加藤氏>
フローチャートの自動化改修には2つのステップがあります。
1つ目は、150もの媒体情報を1回の取り込みのみで、フローチャートに全情報を取り込めるようにすることです。
2つ目は、抽出条件が入力されたExcelを取り込むことで、フローチャートを自動作成出来るようにすることです。
カタログの対象顧客抽出作業は、旅行の企画をする社員が送付顧客条件表をマーケティングチームに送ります。マーケティングチームはその条件書を読み解きフローチャートに変換しております。この変換作業に時間がとてもかかっておりました。その為、提供される条件表をExcelのままフローチャートに取り込み、自動でフローチャートを作成するよう貴社と改修を行いました。
<スプリームシステム>
スピードの課題を解決した先に、どのようなことを成し遂げたいのでしょうか。
<クラブツーリズム 加藤氏>
自動化改修でカタログ対象顧客抽出作業の時間を極力減らし、空いた時間を「どうしたら、もっと売れるカタログにできるか」というアイディアを出す時間に使いたいです。これは弊社の社員だけでなく、貴社の常駐支援も同様で、売上に繋がる新たな取り組みに時間を使っていきたいです。その為に、自動化改修により40%の時間を削減させることが目標です。
aimstarで完結するカタログPDCA
<スプリームシステム>
これまでも反応率の高い顧客のみにカタログを送るよう様々な取り組みをされていたと思いますが、どのようにPDCAサイクルを行っていたのでしょうか。
<クラブツーリズム 加藤氏>
カタログの送付対象者のPDCAサイクルにおいても、aimstarは中核を担っています。送付条件毎に反応率を出す「セグメント別効果測定」を活用してPDCAサイクルを回しています。顧客リストをaimstarで抽出し、反応結果もaimstarに取り込んでいるため、aimstar内でPDCAが完結できます。これらのaimstar内の成果をみて、各企画担当者は翌月以降の企画を作ったり、送付顧客の条件を改善したりしています。カタログ業務においてaimstarはPDCAサイクルの中核を担っています。
カタログにおける2つのAI活用
<スプリームシステム>
自動化改修によって捻出したリソースやコストを活用し、売上を上げる新たな取り組みとして、aimstarのAI活用も進めていただいております。aimstarのAI活用への期待について教えて下さい。
<クラブツーリズム 加藤氏>
実は弊社内でもAI活用が初めてです。その為、どのような成果になるかは分からないのですが、カタログにおいて、2つの方向でAI活用は進んでいくと思います。
1つ目は、売る手段を変えることです。
具体的には、カタログは数十ページの本になっています。お客様一人一人にあった商品がピンポイントで乗った軽い冊子にしたいです。「あなたにあった商品リストはこれですよ」というような、買ってくれそうな商品情報のみを送りたいです。レストランに例えると、フランス料理や中華料理など、顧客の好みの料理に合わせて、メニューを変えるイメージです。これが弊社の理想の1(一人のお客様) to 1(1つの旅行の商品)のコミュニケーションです。お客様目線でもありがたいと思いますし、環境保護にも繋がります。
2つ目は、沢山買ってくれるお客様を探したいです。
初回の購買傾向をみてAIを活用してLTV予測に取り組んでいきたいです。
これら2つがaimstarのAI機能を搭載したときの大きな柱になると思っています。歩みは小さいかもしれませんが、まずは今後につながる気づきを生み出したいです。相当期待していますので、宜しくお願いいたします。
「aimstarの無い時代には戻れない」カタログDXの歩み
<スプリームシステム>
ありがとうございます。貴社の売上拡大に繋がる気付きや成果が得られるよう引き続きご支援して参ります。最後に、2002年に顧客データベース1号を構築してから現在までカタログDXに取り組まれている貴社にとって、カタログDXで重要なことを教えて下さい。
<クラブツーリズム 加藤氏>
「出来たらあって当然で、無かった時代には戻れない。」これが成功するDXやシステム改修だと思います。まさに2023年にリリースしたカタログ顧客抽出自動化の第一弾「媒体一括取り込み機能」です。無かった時代には絶対に戻りたくないです。
aimstarはやりたいことを常に実現してくれるツールで、2012年のaimstar導入後、様々な業務課題をスプリームシステム様と一緒に解決してきました。
aimstar導入初期の「購入金額」と「最終予約日からの経過日数」での顧客抽出や、SQLでの顧客抽出からの脱却、顧客抽出の自動化等です。時と場合によって課題は異なりましたが、これら1つ1つはとても大きな業務改善で、DMの業務課題を一手に解決してきたシステムです。
<クラブツーリズム 加藤氏>
aimstarの機能は勿論、スプリームシステムの人間味がありアットホームな雰囲気も大好きです。引き続き宜しくお願いいたします。
<スプリームシステム>
本日は貴重なお話を誠にありがとうございました。こちらこそ引き続き宜しくお願いいたします。
aimstarは顧客とのエンゲージメントを高め、LTVの向上を支援します!