鉄道インフラを基盤とした多角的なサービス「JRE MALL」
―はじめに、JRE MALLの事業内容について教えてください。
金谷氏:JRE MALLは、JR東日本グループが運営する通販サイトで、JR東日本グループならではの商品をはじめ、各地の地産品など特色のある商品をご用意しております。現在、100万人を超える会員にご利用いただいているショッピングモールです。
川口氏:モール型のため、幅広い年代の方にご利用いただいています。

外山氏:JRE MALLは、「ショッピング」「ふるさと納税」「チケット」「オーダーサイト」の4つサービスを提供しています。
「ショッピング」は名産品から日用品まで幅広い商品を取り扱うECサイトで、「ふるさと納税」は自治体へ納税を行うサイトです。双方ともに、弊社の特色ある返礼品を準備しています。また、「チケット」については、コンサートや博物館のチケットに加えて、特に鉄道ファン向けの体験型イベントチケットを取り扱っているのが特徴です。そして「オーダーサイト」では、駅ナカの店舗やロッカーで商品を受け取れるモバイルオーダーや、駅構内で利用できるパンやコーヒー、生花などのサブスクリプションサービスを提供しています。
このように、それぞれ性質の異なるサービスを「JRE MALL」という一つのプラットフォーム上で運営しています。
―マーケティング本部戦略・プラットフォーム部門は、どのような役割を担っているのでしょうか?
川口氏:当部門は、SuicaやJRE POINTなど多様なデータの活用基盤を整備し、分析・可視化や社内外への展開を通じて、データに基づくマーケティング高度化と、お客さま一人ひとりに寄り添ったサービスづくりを推進しています。その中で、私たちの所属するデジタルビジネスユニットは、JRE MALLや今後展開を予定しているSuicaアプリを担当しています。
散在するツールとコストの課題。分析から実行までを一貫させるために
―MA・CDPの導入を検討された背景を教えてください。
外山氏:以前はメール配信やWeb接客をそれぞれ独立したツールで行っていたため、統合的な打ち手の検討や効果検証が困難でした。
「現状を深く分析し、その結果を即座に打ち手に活かせる基盤」を求めていたこと、そして複数のツール運用によるトータルコストを削減したいという狙いがあり、MA・CDPツールの検討を開始しました。 展示会でAIMSTARを見て、1年ほどの検討期間を経て採用することになりました。

―AIMSTARを選定された決め手は何でしたか?
外山氏:合計8社ほど比較し、配信が得意ですが分析機能がないツール、想定している予算を大きく上回るツール、予測機能に特化するなど特色があるツールなど、各社それぞれに得意とする領域が異なっていました。最終的には「データのドリルダウン分析」と、自社開発・自社サポートによる「一貫した伴走体制」がAIMSTAR選定の決め手となりました。
特に、数千万を見越す巨大な会員基盤を支えるためのスケーラビリティや、弊社の複雑な要件に対して、担当者の方が非常に熱意を持って提案してくださった点に安心感を得ました。
複雑なデータ構造の統合。データ理解から始まったプロジェクト
―導入にあたって、特に苦労された点はありましたか?
外山氏:当時弊社の新たな会員基盤が開発中だったことから、システムに連携が必要な会員数がどれほどの規模になるのかの見通しが立てられない状況でした。AIMSTARには、最大で2000万人会員まで対応できるように、契約プランやシステムのご検討にご協力いただきました。
金谷氏:JRE MALL自体のリプレイスも進行中で、要件が完全には固まりきっていない状態でした。データ構造が弊社側でも不明な点が残っている中、AIMSTARのプロジェクトチームはCDP・MAの深い知見を活かし、私たちの「データ構造の理解」から一緒になって取り組んでくださいました。途中で弊社の状況を見て、定例の回数を増やすご提案をいただき、課題の洗い出しにしっかり伴走いただけたので、無事リリースを迎えられました。

外山氏:弊社のサービスは、各サービスでデータの属性や持ち方が全く異なります。例えば、「チケット」にはイベント名だけではなく、日別・時間別・大人子どもなどのチケット種別などの種類があります。どのデータを、どんな粒度で取り込むべきかの整理は非常に困難でしたが、販促活用に向けて適切に整理ができました。
今はAIMSTARによって基盤が整ったので、これからは全体を見たペルソナに対して複数の打ち手を持つことができるようになりました。
導入効果:レコメンドの「脱ブラックボックス化」と売上への貢献
―導入後、具体的に実感されている効果を教えてください。
金谷氏:以前のレコメンドはロジックがブラックボックスでしたが、AIMSTAR導入後は「商品カテゴリを指定する」「直近3か月以内のデータに限定する」など、現場で細かくチューニングが可能になりました。施策の意図がダイレクトに反映できていると感じます。
外山氏:メールに関しても、「クーポン未利用者へのアプローチ」など、これまで実現できなかった、お客様のニーズに寄り添った施策をスピーディーに展開できるようになりました。
独自の価値:「移動」をトリガーにしたリアルタイム施策の実現
―2025年の3月に「タッチトリガー」のリリースがありました。そちらでもAIMSTARをご利用いただいております
外山氏:はい。「タッチトリガー」は改札機を通ったタイミングで、通過情報を情報発信する仕組みです。駅利用をトリガーにした謎解き配信での利用などで機能を利用していましたが、JRE MALLでもLINE配信の際に活用したいという話が弊社内で上がりました。要件を満たす環境の導入を検討したのですが、リアルタイム性を担保できる企業がなかなか見つかりませんでした。
そこでAIMSTARチームに相談したところ、今回求めているタッチトリガーのデータを受信したのちLINEへリアルタイムに配信できるシステムの構築にご対応頂けるとご返答いただき、急遽AIMSTARをタッチトリガーの仕組みでも利用することになりました。これにより、「特定の駅を利用した人に、リアルタイムでLINEを配信する仕組み」を構築でき、鉄道会社ならではの施策が実現しました。駅での受け取りを行うオーダーサイトや、移動を伴うチケットサイトとの相性が良い仕組みなので、今後もJRE MALLで活用していきたいです。

今後の展望:AI活用と施策の深化によるROI最大化
―最後に、今後の展望を教えてください。
外山氏:ふるさと納税のサイトで控除額の条件値に合ったレコメンドを実施するなど、各サイトでの特長に応じた打ち手をさらに深堀りしつつ、自動で施策が打てる横断的なシナリオ機能などにも期待しています。
金谷氏:メール、Web接客、LINEなど各チャネルを横断した施策をさらに強化し、顧客体験を高めていきます。
川口氏:投資対効果(ROI)を追求しながら、AIMSTARのさらなる機能アップデートと共に、基盤を使いこなしていきたいと考えています。
ー本日は貴重なお話ありがとうございました。サービスごとに異なる複雑なデータ構造を統合し、さらに改札通過というリアルな行動をフックにした「タッチトリガー」を実現できたことは、まさに次世代のマーケティングを象徴する事例です。 今後も、JRE MALL様のさらなる成長と、お客様への新しい価値提供を全力でサポートしてまいります。
